カリブ海の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)本ダウンロードepub
カリブ海の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
によって アガサ クリスティー
4.4 5つ星のうち(23人の読者)
カリブ海の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)本ダウンロードepub - 内容(「BOOK」データベースより) 転地療養のため西インド諸島を訪れたマープル。一週間は何事もなく穏やかに過ぎていった。しかし、まもなく彼女を相手に懐古談をしていた少佐が死体となって発見される。以前から少佐は何かを憂いていたようなのだが、いったい何が起こったというのか?美しい風景を舞台に老嬢ミス・マープルが事件の謎に挑む。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) クリスティー,アガサ 1890年、保養地として有名なイギリスのデヴォン州トーキーに生まれる。中産階級の家庭に育つが、のちに一家の経済状況は悪化してしまい、やがてお金のかからない読書に熱中するようになる。特にコナン・ドイルのシャーロック・ホームズものを読んでミステリに夢中になる。1914年に24歳でイギリス航空隊のアーチボルド・クリスティーと結婚し、1920年には長篇『スタイルズ荘の怪事件』で作家デビュー。1926年には謎の失踪を遂げる。様々な臆測が飛び交うが、10日後に発見された。1928年にアーチボルドと離婚し、1930年に考古学者のマックス・マローワンに出会い、嵐のようなロマンスののち結婚した。1976年に亡くなるまで、長篇、短篇、戯曲など、その作品群は100以上にのぼる。現在も全世界の読者に愛読されており、その功績をたたえて大英帝国勲章が授与されている 永井/淳 1935年生、1958年埼玉大学英文科卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カリブ海の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)の詳細
本のタイトル : カリブ海の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
作者 : アガサ クリスティー
ISBN-10 : 4151300430
発売日 : 2003/12/1
カテゴリ : 本
ファイル名 : カリブ海の秘密-ハヤカワ文庫-クリスティー文庫.pdf
ファイルサイズ : 28.67 (現在のサーバー速度は29.96 Mbpsです
以下は、カリブ海の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)に関する最も有用なレビューの一部です。 この本を購入する/読むことを決定する前にこれを検討することができます。
ミス・マープル物の長編9作目にあたり、クリスティの半世紀を超えるキャリアの中でも晩期に発表された作品です。さしものクリスティも、この時期になると、クオリティに陰りが見られるようになります。ミステリとしての謎の構成もさることながら、彼女の最大の武器であったストーリーテリングの巧さが失われ、冗長で、本筋にも絡まなければ内容的にも面白くない台詞を延々と読まされることが頻繁になり、その強弩の末勢ぶりには悲しさを感じずにはおれません。そんな中、この作品は(初版刊行時点で)74歳だった人が書いたとは思えぬほど、軽快さがあります。そして、すらすらと読める文章のあちこちに、まだまだなめてもらっちゃ困ります、といわんばかりの攻めの精神が伺えるのが嬉しいところです。それが顕著に見受けられるのが冒頭部。イングランドの片田舎にある小さな村をホームグラウンドとするミス・マープルを遠くカリブ海のリゾートホテルに送り込み、「いたるところにあるセックス。婦女暴行、近親相姦、あらゆる種類の性的倒錯」(13ページ)といった言葉を連ねて、“ヴィクトリア朝時代の謹厳さと上品さ”という、マープルに、そしてクリスティ自身について回るイメージを拭き飛ばしにかかります。しかも、このセックス談義が読者の関心を惹くためのネタに留まらず、物語全体のキーワードになっていることも見逃せません。実際、クリスティの諸作の中でも、ここまで不倫関係が多い作品は珍しいでしょう。あからさまなベッドシーンなどがないので目立ちにくいですが、性に対する放埒さが事件の背景にどっかりと腰を下ろしています。色と欲に任せて連続殺人を、それもかなり場当たり的に繰り返す犯人はなかなかのサイコパスで、このあたり、時代に合わせた犯人像を作り出していることも看て取れます。もう一点、老人を侮るな、という気概をわかりやすく体現しているのが、中盤以降に活躍を見せるラフィールという人物です。大富豪で、病気を患い、人当たりが悪いこの老人はミステリの通例にならえば、典型的な被害者タイプ。ところが、マープル顔負けの洞察力を示し、金に飽かせて人をこき使い、それでもって事件解決に協力するというキャラクターとなっています。クリスティのみならず、他作家を見てもかなり希有なワトソン役で、本作の忘れがたい魅力の一翼を担ってくれています。さらに、クリスティは単に新しさに突っ走っているわけではありません。本書12章のタイトルにもなっている“古い罪は長い影を落とす”という言葉は、クリスティが本格ミステリに留まらなくなって以降、特に1950年代以降から最晩年までこだわったテーマであり、この作品もその中に位置づけることができます。そして何よりも、ラフィールがマープルに贈る“Ave caesar, nos morituri te salutamus.”(皇帝万歳。我ら死せんとする者、陛下に敬礼す)という言葉。これはクリティファンなら先刻ご承知の通り、1922年に発表されたトミーとタペンス物の第1作『秘密組織』のクライマックスを飾った台詞です。40年余の時を経て、かつて自分が作家人生の幕開けで用いた言葉を再度持ってくる――ここには、さあ、ここからリスタートだ、というクリスティの気概がみなぎっているようです。本作はクリスティ初心者の人にも、その読みやすさでオススメできる作品です。またクリスティを20冊、30冊と読んだ人にも、ふうん、マープル物にもこんなものがあるんだ、という興味を提供してくれると思います。同じリゾートホテルを舞台にした作品として、ポアロ物の『白昼の悪魔』と読み比べるのも面白いかもしれません。なお、本作は2度に渡ってテレビシリーズの一作として映像化されています。マープルをジョーン・ヒクソンが演じた1989年版と、ジュリア・マッケンジーが演じた2013年版です。両者とも、登場人物の整理や細かな設定変更こそありますが、大きな改変はなく、原作では完全に浮いた扱いになっていた警察関係者をストーリーに絡めて全体のまとまりを整えているほか、ホテルの外にある現地の街でのシーンを盛り込み、西インド諸島らしい雰囲気を強めています。強いていえば前者はやや原作寄りで、後者はブードゥー趣味を加えたり、ジャマイカに別荘を持っていたイアン・フレミングを劇中に登場させたりとエンターテインメント性を高めた脚色になっています。どちらも悪い出来ではありませんが、個人的には、より本格志向で華やかさに富む後者に一票を投じます。ただし、マープルはヒクソンのほうが好みですが。【補足データ】初版:1964[昭和39]年11月初版刊行時点でのクリスティの満年齢:74歳長編として:全66作(Mary Westmacott名義で刊行された非ミステリ長編6作を除く)中の55作目マープル物の長編として:全12作中の9作目
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